2005年10月26日
まったなしの社会保障改革
 現在、国会において、医療制度改革の一環として、これまで被用者保険や国民健原保険などの各医療保険制度間で異なっていた医療費の自己負担割合を世代別に統一するほか、自己負担限度額の見直しやサラリーマンの保険料を年収をぺ一スに算定する総額報酬制の導入など、広範囲にわたる健康保険法等の改正が審議中である。

 この医療制度改革の背景には、急速に進展する少子・高齢化、経済成長の鈍化等により、医療費を含む年金・介護サービス等の社会保障全体に係る国民負担が、経済の伸びを大きく上回って増大することが見込まれており、特に若い世代を中心に制度の持続可能性や将来の負担増に対する懸念が増大しているという大きな課題がある。

 厚生労働省の試算によれぱ、少子・高齢化の急速な進展により、2025年には、高齢者1人に対する現役世代は現在の4人が1人に半減する一方、社会補償給付費は現在の約2.7倍の207兆円で国民所得の31.4パーセントに達し、国民負担率は、約51パーセント、すなわち、国民所得の半分以上が、社会保障や租税負担に必要になると見込まれている。

 さらに憂慮すべきことは、この負担率の前提である2025年の国民所得推計額660兆円が実現するためには、2000年度現在の383兆円から毎年2.2パーセントの伸びが必要であり、バブル期以降平均して1パーセントを下回る経済成長に止まっている現在の経済情勢からは、かなり高めのものとなっていること、また、社会保障及び租税に係る負担のほかに、国及び地方の財政赤字が潜在的な国民負担として存在しており、その規模は2000年度現在で、国民所得の9.4パーセントに達しているという状況。

 少子・高齢化の急速な進展、経済成長の鈍化に加え、家族形態や雇用慣行の多様化など・大きく変化する経済社会構造の中にあって、個々人が安心して人生にチャレンジすることができる社会を後世に継続していくためには、この将来の負担増への懸念を払拭し、安定し、持続可能なセーフティネットとしての機能を発揮する社会保障制度への再構築が喫緊の課題である。

 とりわけ、国民医療費については、高齢者医療費が年8パーセントの高率で増加しており、高齢化のピークを迎える2025年には、社会保障費の約4割に当る81兆円に達し、そのうち、高齢者医療費が55パーセントを占めると見込まれており、放っておけば、既に全体で毎年約8000億円の赤字に苦しんでいる医療保険制度は破綻し、国民皆保健体制は崩壊しかねない。

 日本が世界に誇る国民皆保健体制を堅持し、今後さらに高齢化が進んでも、持続可能な医療制度を後世に継承するために、まさに医療制度改革は「待ったなし」の状況であります。

 医療制度改革の推進にあたっては、公明党は責任与党として、患者負担における低所得者対策の拡充や激変緩和にも配慮しつつ、少子・高齢化が一層進展する10年、20年先を見据え、「安定し、長持ちする医療制度」への抜本的な改革案を提案している。

 すなわち、医療費の効率化の徹底や、薬価・診療報酬の見直し、行革の推進による公費負担の引き上げなど、患者だけに負担を強いることのない制度改正を進めると同時に、被用者保険や国民健康保険など複数の制度からなっている「医療保険制度の一元化の検討」や保健制度間の公平な負担を確保する「新たな高齢者医療制度の創設」、「透明性の高い診療報酬体系への見直し」といった抜本的な制度改革である。