2005年10月16日
平和創出めざし◆一大拠点づくり具体化へ◆
平和創出めざし
◆一大拠点づくり具体化へ◆

【紛争後のアフガニスタンを調査に訪れた明石氏】
(右端=2002年2月、写真提供・広島県)
広島県が「国際平和拠点構想」の具体化に向け動き姶めた。同構想は、広島県内の平和研究機関やNGO(非政府組織)、県が誘致に乗り出している国連訓練調査研究所(ユニタール)などをネットワーク化し、平和創出のための国際貢献や人材育成、学術研究の一大拠点としようというもの。

 県は2001年9月、拠点構想の理念や方向性を定める目的で、元国連事務次長で日本予防外交センター会長の明石康氏、元国連大使の小和田恒氏らで構成する平和政策研究会(明石委員長)を設立し、自治体発の平和施策のあり方を議論してきた。
 同研究会は今月中に、自治体による戦災復興支援や紛争一貧困予防策などを盛り込んだ「国際平和拠点構想」の青写真を県に提言する予定だ。

国際貢献、人材育成、学術研究が柱に
 「地球上から核兵器を廃絶するには、使用される恐れがある戦争や紛争をいかになくすかという問題を、世界を含めた広い見地からもう一度考え直し、そして行動を起こさなければならない」。平和政策研究会の明石委員長は拠点構想の意義を強調した。広島県は、こうした明石委員長らの意見を踏まえながら、拠点構想の具体化を急ぐことにしている。

 構想の中で、現在明らかになっている機能と方同性は、県と各市町村、広島大学平和科学研究センター、広島市立大学広島平和研究所、国連訓練調査研究所(ユニタール)、国際協力事業団中国国際センター、県内のNGOなど多彩な団体をネットワーク化し平和創出への一大拠点づくりを目指そうというものだ。
 取り組みの柱は (1)国際貢献 (2)人材育成 (3)学術研究――の3点。県レベルでの世界の平和創出に向けた拠点づくりは全国的にも例がなく、それだけに各方面から注目を集めている。立地場所や設立時期などは、今後協議して決められる。

国連機関を誘致し途上国外交官らの研修を後押し
 拠点構想の3本の柱のうち、人材育成部門について県は、ユニタールの事務所誘致へ動いている。
 ユニタールは、世界の平和と安定のため、開発途上国の外交宮や行政官などを対象に研修する国連機関で、1965年に設置され世界中に幅広い人ネットワークを持っている。しかし、アジア・太平洋地域に拠点がないため、ユニタール側が広島県に事務所設置を提案。県はこれを歓迎し、すでに共同で試験的な研修プログラムを実施している。

 1回目の「世界遺産の管理・保全」、2回目の「海洋と人間の安全保障」を終え、あとは3回目の「自然や人為的災害の管理」を残すだけだ。ユニタールは2回の研修成果を高く評価し、広島事務所の設置に前向きな姿勢を示している。
 被爆から56年余り。広島県にあって国内外に向け『平和』を発信してきた主体は広島市だった。これに対し県の取り組みは、補助金などの側面的な支援にとどまっていた。そこで県は、被爆の惨状と復興の歩みを通して核廃絶を訴えることに重点を置いてきた広島市とは角度を変え、被爆県の立場から平和創出に向けた拠点構想を発案。人道的な国際貢献など3分野を骨子とする活動に取り組むことにした。

 2001年9月には拠点構想の理念や方向性をより具体化するため、明石氏を委員長、小和田氏らを研究顧間とする平和政策研究会を設立。政府系のシンクタンク・総合研究開発機構(NIRA)と共同で「国際平和に寄与する地域政策のあり方−−20世紀の平和の象徴広島をモデルにして」をテーマに活発な議論、研究を展開してきた。
 また2002年2月には、明石委員長らが紛争後のアフガニスタンを訪れ、現地の国連機関や暫定行政機構のカルザイ議長、現地のNGOなどの関係者と意見を交わした。

 同研究会は今月中にも、調査や研究の結果をもとに、拠点構想の青写真となる提言をまとめ、県に提出する予定だ。
 この中では実践項目として、地域紛争終了後の戦災復興支援や平和教育、医療など、被爆からの再建を果たした広島の経験を生かした取り組みが盛り込まれる見込みだ。

 また提言では、先月の第4回平和政策研究会で藤原帰一副委員長(東京大学法学部教授)が「地域紛争を放置すれば、テロリストを生む要因となる貧困や新たな紛争などを引き起こすことになる。地域紛争の問題は、遠く離れた私たちの安全にも関わる問題だ」と述べているように、「なぜ、地域紛争の問題に国を超えて広島が関わることが必要なのか」についても、明確な意義付けが行われるだろう。

 21世紀のヒロシマ発・新たな平和発信――。広島県の「国際平和拠点構想」について、比較国際教育学が専門の二宮皓広島大学大学院教授は「広島は、小さな国よりも大きな経済規模を持ち、十分に世界で活躍できる」とし、「世界の多くの人たちが広島を訪れるきっかけになれば」と、構想の具体化に大きな期待を寄せている。


 
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