アメリカを襲った「九・一一」の名で語られる同時多発テロ事件が社会に残した傷跡は、経済的な打撃も含め、余りにも大きなものがあります。テロが人々を不安や混乱に陥れ、恐怖や不信感をあおることを目的としている以上、断じてそのおどしに屈してはならず、それを凌駕する人間精神の力をわき出すことが強く求められております。このたび、広島県が総合研究開発機構と共同で取り組んだ平和政策研究会において、明石康委員長のもとで、小和田恒元大使や東京大学の藤原帰一教授など、我が国の平和政策分野における屈指のメンバーが議論を重ね、英知を結集して報告書が取りまとめられました。紛争地域における復興支援に地方自治体が貢献する道を開く画期的な内容であり、小泉内閣のもとで、新たな外交政策やODA―政府開発援助のあり方などが検討されている中、極めて時宜を得た調査研究であると高く評価する次第です。
この報告書に示されたように、これまで平和構築の主体とは位置づけられていなかった地方自治体が、国やNGOと並んで国際平和と安定の一層の促進を目指し、積極的かつ実践的な役割を果たしていくべきであると考えます。アフガン復興への具体的支援策についてアフガニスタンでは、民族間のあつれきが依然として深い影を落としており、まずは、崩壊したコミュニテイーや人間関係を一日も早く回復することが求められております。先般、NHK番組の「おはよう日本」で、フォトジャーナリストの大石芳野氏がインタピューに答えて、アフガニスタンにおける復興の現状を紹介しておられましたが、私は、タリバンによって枝をすべて切り落とされ、無残に荒廃したカブール郊外のブドウ園の写真に強い衝撃を受けました。かつて干しブドウの一大産地であったこの国の姿は、今や見る影もないありさまですが、唯一の救いは、そこに帰ってきた人々が語った「我々への援助は初期のものでよい、あとは自力でやっていく。」という力強い言葉であります。私は、復興支援において、食料や医薬品などの物資の確保や橋や道路の整備による荒廃した国土の復旧も急務ではありますが、例えば単に物資を送るだけの食料支援ではなく、直接、生活の糧を得る技術、ノウハウの確保という、より本質的な支援や、コミュニティーや人々に安らぎをもたらす息の長い援助が重要であると考えます。このような観点から、地方自治体はそのノウハウにおいて、国やNGOよりも詳しい分野を有していることから、広島県としても人材やさまざまな技術を積極的に復興支援に活用すべきであると考えます。
ユニタール広島センターの誘致について
ユニタールと広島県とは、紛争地域などへの支援をテーマとした共同ブロジェクトの実施を予定していますが、将来的にユニタール広島センターが設置された場合、本県の新たな平和政策の推進にとって極めて重要なパートナーになり得るものと考えられます。
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